てろてろとペダルをこぎつつ、うっすらと秋めいてきた心地に誘われて思いっきり深呼吸してみる。今朝の空気はとりわけさわやかで、夏の甘酸っぱさはすでになく、しん…という音が頭蓋でわずかに響く。僕は、冬の晴れて乾燥した寒い朝の空気が好きだ。予兆は心を軽やかに跳ねまわり、今日もいちにちがんばるぞ、とペダルをこぐ足にも力が入るのだった。

ずんにゅ。そして、にしゃぁ?。

いつもの場所に自転車を停め、降りようと体を傾け左足を地面に降ろしたときのその感触。ずん。簡単には儘ならぬその適度な頑健ぶりが足元に心地のよい抵抗感をもたらした。にゅ。と思いきや唐突に障壁が失われたことに不意をつかれつつも、柔らかく包み込むような至高の優しさに僕はうっとりとしてしまう。にしゃぁ?。このままずっとこの幸せが続くことを願って。

ずぅ?んにゅしゃぁ?。

踏んだ。というよりもむしろ、踏み込んだ。自転車を降りようと足を降ろしたとき、僕は踏み抜いた。ずんわりとした感触にまさかと思いつつ、踏みしだいた。おそるおそる足下を見た。黒の皮革がうんこまみれになっていた。出勤時、思いは遙か天翔る、糞にまみれた永遠の瞬間…。