HYSTERIC

ホラー俳優としての千原浩史(怪物に襲われ右往左往する側としてではなく、怪物そのものとしての)を楽しむという観点からいうと、この作品のひとつ前に出演した「ポルノスター」以上のインパクトを感じ取ることはできなかったものの、それでもやはりただならぬ気配を横溢させていて、しかしそれは小島聖が昔の男(村上淳)に手紙を書いていたことを知って怒り狂い暴れるシーンに見られる粗暴きわまりない所作(あんなのは適当に手足をバタバタさせれば誰だって表現できる程度のものだろう)について感じたのではなく、たとえばふたりが出会った直後の喫茶店で、雨に濡れた身体をおしぼりで執拗に拭き続ける千原の姿を小島が「クククッ」と笑い続けていて、それを訝しく思ったのか「なに? なぁにぃー? なぁ、なにわらってんねん? な? な?」としつこく問い続ける時の顔、身の乗り出しよう、執拗さ、いまにも刺しかねない雰囲気がヤバくてね、そういうところが恐ろしいのです。

とはいえ、やはり千原の魅力が存分には発揮されないとなると、この映画の構成(なんか時代を行き来したり、小島の回想モノローグがなにやら暗示的なことをいったりする)の凡庸さが目について、してみれば、残された楽しみは小島聖を鑑賞することだけなのです。とすれば小島聖が常に素晴らしいのは自明の理、この作品、それだけで成功ということになるのでしょうか。