「Re: メール・フォームからのお便り」 @ 2004-01-01 19:00 (Thu) について掲示板にて御意見をいただきましたので、そちらでややまとまった感想を書きました。
長いこと CCCD に反対だということを書き続けているにも関わらず、その基本的な考えについていままで無精して書いてこなかったのですが、今回機会を得て掲示板上でのやり取りという形に助けられてやや立ち入って考えを述べることができたので、日記にも転載することにします。
- 1203 パソコンで再生できる音源
- ゆきち
- 2004-01-01 20:20:14
の話ですが、とりあえず、意見を言うと、「パソコンで音源が再生できる(及び、その音源を別フォーマットに変換する)」ということと、「その音源をファイル共有ソフトで流す」というのは、別の話題です。例えば、僕は今手持ちのCDを買って来てすぐMP3フォーマットにするけど、それをファイル共有にかけてはいません(昔はやったけど)。
個人的にはファイル共有支持者だけど、まあ、それに反対する意見も聞かないでは無いです(Napster全盛期はアーティストが支持していたくらいなんだけどね)。大体、別フォーマットに変換出来ない、というのは、例えば、じゃあなぜビデオの録画機能は存在するのか、それは消すべきなのカ、といったもっと大きな枠での議論を経ない限り、簡単に許可されるべきではあリません。
あと、CCCDに対する反対意見は、「技術的観点から見てユーザーが不利益を被る」という点にあります。従って、技術的に不利益にならなければ、CCCDに変わるコピー不可能なフォーマットを支持する人も少なくありません(AvexがDVD-Audioを出す、と言う話が出た時に、スラドでは概ね好意的に向かえられました。まあ、スラドだけど)。
従って、けんたろさんがとった行動は僕は問題がないと考えます。というか、僕自身、目覚し代わりにパソコンでMP3を再生しているので、どちらかというと、別フォーマットに変換できない素材は歓迎できなかったりします。
あまり議論は歓迎しないだろうけど、さすがに言わせてもらいます。変にスレッドがあれたら、即座に削除しちゃってください。すいません。
- 1204 untitled
- けんたろ
- 2004-01-01 21:08:22
「パソコンで音源が再生できる(及び、その音源を別フォーマットに変換する)」ということと、「その音源をファイル共有ソフトで流す」というのは、別の話題です。
付け加えるならば、音源をファイル共有ソフトで流すのと共有されている音源をダウンロードするのもまた別のお話ですね。
- パソコンで音源が再生できる(及び、その音源を別フォーマットに変換する)
- その音源をファイル共有ソフトで流す
- 共有されている音源をダウンロードする
2. について、これは端的に「送信可能化権」を侵害する行為であり端的に違法なわけで、そうなると「現在考えられているように著作権を財産権としてのみとらえるのではなく、イノベーションを促進するための制度としてとらえるべきだ云々」という話、つまりは具体的な法律(というか思想的な問題)に関する議論(特に期間について)になろうかと思いますが、まぁ荷が勝ち過ぎるので措くとして…。
正直いって普通に CD を購入している者からすれば 2. 3. ともにひたすらはた迷惑な存在で、ましてやそいつらが共有している / 金を出さずに享受したいと望むものといえばゴミみたいなものばかりでしょう、なんでそういう連中のせいで僕が迷惑を被らなければならないのか?と苛々するのですが、だからといって正当な 1. についての既得権をメーカが簡単にないことにし、つまりそれはこれまでできたことができなくなる = 品質の低下という事態であるにもかかわらず価格は据え置きますよということになると、まぁふざけんなよと思うわけです。だから、単にコピー不可というだけで DVD-Audio その他にフォーマットを鞍替えすればよいという「技術的」な意見にも賛成できません(もちろん、フォーマットの変更がなんらかの文化的イノベーションをもたらすのであれば賛成します)。
日記に書いた
様々の手法で以てパソコン上で安心して再生できる音楽ファイルを入手しなければならないと、今朝起きた時に決意したというのは、まぁネタといってしまえばそれまでですが、上記した通り僕は安易なフリー・ライダーにもメーカにも「技術者」にも共感できないので、やけっぱちで書きました、というのがほんとのところです。しかし、音楽というか文化一般について思い入れのないひとたちの著作権に対する認識は(僕の見聞した限りでは)本当に酷いもので、金を出さずに利益を得ることに対してなんのためらいもない、というか、そういう問題について無感覚なひとたちが多く、そういうのを見るだに現実的にはメーカ側の対応も理解はできるというか、そうするしかないとは思います。ただ、それにも関わらず僕は文化的なことにかんしては「正しさ」という規準を見失いたくはないので、CCCD に反対するのです。
- 1207 絶望的杉て
- アサノ
- 2004-01-02 16:25:43
自分ち(MT の方)にエントリんぐしてしまいしまた。何と言いましょうか、マジでヘコんだ・・。私は傍観者な立場なんで、横から口出しすんな!みたいなアレになってしまうんですが。しかしあの意見には流石に参ったと言いましょうかそんな感じです。(どんなだよ
- 1208 untitled
- けんたろ
- 2004-01-02 19:45:07
横から口出しなんてとんでもないですよ。自分も CCCD をめぐる利害関係者であると認識するならその誰もが当事者であるというような話なので。ところでアサノさんは、メールを下さった方が CCCD に反対していて、かつ、具体性に乏しい観念に基づいて僕を批判していると判断されたようですが、僕はそのあたりについてはわりとニュートラルに捉えました。
- CCCD に反対(あるいは賛成)していて、かつ、音楽を聴くことそのものの具体性に乏しい観念に基づいて批判している
- CCCD に特に反対する(あるいは賛成する)ということはないけど、僕の言動に矛盾があることそのものに違和感を覚えている
- 単に僕が MX / ny で音楽をダウンロードしまくってるだけのフリーライダーだと思っていて、そういう奴が CCCD 反対っていうのはおかしいだろ? と思っている
以上 3 パターンぐらいの背景があり得るかな(あと、音楽への思い入れの度合いもそれぞれ勘案さるべき)と思ったのですが、日記で引用した通りの短い文面からはメールを下さった方が上記のどの類型に当てはまるのか判断しかねたので、
(つまり、矛盾した態度であり得るが、必ずしも矛盾しているわけではない)と一般論を述べるにとどめておいたわけです。あと、そういうことしておいてCCCDに反対するというのは矛盾した態度であり得るし、そもそも建設的なやりかたではないと思います絶望的な話ってのは、ゆきちさんへのリプライに書いた通り安易なフリー・ライダーにもメーカにも「技術者」にも共感できないといったことで、これはまぁ CCCD に限らず文化全般的な状況がよくないなぁといった愚痴ですね…。んでもって、3. については、「日記を御覧になっていれば僕がそういう人物ではないことがわかるはずです」。終わり。1. と 2. については、アサノさんがおっしゃる通り、
「音楽を聴く」という事をもう少し根本的に考えて欲しい、と思います。当たり前のことですが、音楽というのは工業製品とは違い、宇多田ヒカルの CD が売り切れていたから浜崎あゆみでいいやというような性質のものではなく、したがってあるミュージシャンの音源が CCCD でしか入手できないとなれば、それはすなわちある種の環境下にいるひとたち(オーディオ装置 / CD ドライブ等が毀損されることを恐れる者・自分の好きな環境で音楽を享受したい者等)が正規のルートから完全に除外されることとなるし、ゆきちさんへのリプライでも述べた通り、品質が低下するにも関わらず価格は据え置くという容易には受け入れがたい事態になるわけで、そしたらどうしましょうか?我慢するか、それともよくないことだとは思ってもファイル共有ソフトで入手するしかないでしょう。後者に対するそういうことする馬鹿な奴がいるからレコード会社はCCCDを導入してるという反論には、その論は先後関係を取り違えている、つまり、良識的な消費者の側から見れば「馬鹿な奴がいるからレコード会社が CCCD を導入する」のではなく、「レコード会社が CCCD を導入するから馬鹿なことをせざるを得なくなる」ということであり、もちろんそれは建設的な意見では全くないので特に大声を上げて主張するようなことでもないのですが、ともあれレコード会社がコピー・コントロールを導入することは社会的・経営的な観点からいえばわからないではないものの、そのことによってまともな者が音楽から疎外されることになることは断じて正しくないことなのであり、僕は消費者として或いは音楽が好きな者として社会的・経営的な観点よりも高次の正誤規準を採るので、そういうことをすることが必ずしも矛盾であるわけではないと述べたいと思います。