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坂口安吾・原作、近藤ようこ・漫画『戦争と一人の女』

戦争と一人の女

戦争と一人の女

坂口安吾の「戦争と一人の女」「続戦争と一人の女」「私は海をだきしめていたい」を原作とする、近藤ようこさんによる漫画。近藤ようこさんの漫画を、初めて読んだ。

魅力的な女性に仮託して、戦争を個人的な美しさや愚かさみたいなものに封じ込めてしまうのは、あまり好きな表現ではないような感じもするのだけれども、しかしそれは、僕が当時のことを過度に遠い過去の歴史的なものとして見てしまっているからだろうとも思う。著者あとがきからの引用:

ごく単純にいえば、これは戦争によって活かされている男女の話だ。しかし戦争が終わっても彼らは生きていく。人間はつまりどんな時代でも生きていくのだ。もちろんそれは今も同じなのだ。

そうしてみると、事を「戦争」という背景に過度にとらわれ、とらえていたのはこちらの方かもしれないという感じがしてくる。まあ実際、魅力的なシーンはいくつもあり、それはそうした背景事情があってこそのものというわけでもなかったのである。

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