著者のid:catatsuyさんよりご恵贈いただきました。ありがとうございます。

pixivエンジニアが教えるプログラミング入門 (星海社新書)
- 作者: 金子達哉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/03/26
- メディア: 新書
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本書は、先日紹介した『Webエンジニアの教科書』とは異なり、プログラミングの基礎が多少はある人に向けてWebプログラミングの概要を教える本ではありません。
例えば次のような方にオススメをします。
(本書p.2)
そのようなターゲットに当てはまる人として具体的にどういう例があり得るかは、多岐に及ぶでしょう。著者は、「非エンジニアの新卒にプログラミング研修を行いました – pixiv engineering blog」にある通り、総合職の新卒社員への研修メニューとして本書の内容を作り上げたとのことなので、Web企業の総合職(エンジニアやデザイナのような専門職でない職種)というのが、まずはターゲットとして明確に認識されているのでしょう。ペパボでも、「研修 – 「はじめてUNIXで仕事をする人が読む本」を新卒入社生と読書会した話 – Qiita」にid:udzuraが書いている通り、エンジニアだけでなく総合職に対しても技術的な研修の必要を感じており、少しづつ取り組み始めているところではあります(そのことによってなんらかの成果が出ているかどうかはまだ未知数というところではありますが)。
また、「非エンジニア」に対してWebプログラミングについて教えることについては、Rails Girlsの取り組みもまた、有名かつ多数の実績を残しているところです。こちらも本書同様に、画像を投稿できるアプリケーションを題材に、プログラミング未経験の人が、なにかひと通りのアプリケーションを作り上げるところまでをゴールとしています。もう少しハードコアなところだと、「人は1ヶ月でエンジニアになれるのか」「人は一ヶ月でエンジニアになれるのか – 詳細解説」で語られる、未経験から職業エンジニアに一ヶ月でなるという研修プログラムも、最近話題になったりしたところです。
職業として必要だったり、あるいは「何か動くものが作ってみたい」という欲求を叶えるためにプログラミングができるようになることはそれなりに必然性のあることですが、そうではない人々が、「システムエンジニアやプログラマーとプロジェクトを共にする、Webディレクター/デザイナーの方」のように、エンジニアとのコミュニケーションのために技術についていくばくかを知ることについて、需要が高まっているのかもしれません。それがなぜなのか、にわかにはわかりませんが、それらの人々が属する企業において日々開発しているシステムが、高度化・複雑化していることも要因のひとつにはあるでしょう。技術についてまるで知識がなければ、よいものを作れるはずがないからです。
というわけで、本書を読んで「プログラミングができるようになるぞ!」と思った方は、その気持ちが学習にとって一番重要なのですが、できれば周囲を巻き込んで、先生役と一緒に学ぶ仲間を見つけるのがよいでしょう。本書の記述は(その出自からでしょうが)ハンズオンによって進めていくことが前提になっています。執筆上の工夫については、著者自身が「細かすぎて伝わらない #金子本 の工夫ベスト5 – catatsuyとは」に書いていますが、その他にも、あたかもいま皆が同じ画面を見ながら読むことが前提となっている記述がいくつもあり(たとえば、Sublime Textのインデントについての場面)、それがライブ感を醸し出していてよいところなのですが、ともあれ「先生役」がいる方が、学習が捗るような構成になっています。
前述のRails Girlsの教材もまたよいものでありますが、本書はWebプログラミングにおける重要な項目を、160ページという分量で非常に要領よく取りまとめ、技術的にも正確、かつ、細部についてきっちり学習を進めていく意欲のある人にとっては、その先に広がる膨大な知識への入り口として適切なものであると思いました。まぁそこまでいかずとも、一般的な意味での職業的な努力として、おおいに関連する他職種の人々がどういうことをしているのかについて理解を深めるというのは、業務において当然役に立つことではあるでしょうから、それをこの本一冊で、まずはひと通り手を動かしながらやってみることができるというのは、お得なことでしょう。

pixivエンジニアが教えるプログラミング入門 (星海社新書)
- 作者: 金子達哉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/03/26
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