最近刊行された、いろんな意味で関心があるテーマの本がKindle化されたので、買って読んだ。
女性の労働進出が制度的・構造的に進んでいる国、具体例としてはアメリカとスウェーデンで、出生率が比較的よい水準である、すなわち、政府の大小に問題があるのではないのだという議論は啓蒙的。
そこから、日本に関しては、スウェーデン的な公共セクタによる雇用は難しいだろうから、ワークライフバランスの推進により男性中心の働き方を解除しつつ、職務型の労働を労働市場の拡充によって達成することで労働力を拡大することが、結果として出生率の向上につながるのだという話になる。
その理路については賛同するのだけど、雇用規制については言及がないので、そうなると単純に外部労働市場による調整に依存することになって、そうするとワークライフバランスの進んだエリート層と外部労働市場に晒された層とに分化するということになると思うけど、ほんとにそれでいいの?という疑問がある。

仕事と家族 日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか (中公新書)
- 作者: 筒井淳也
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2015/08/14
- メディア: Kindle版
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- まえがき
- 第1章 日本は今どこにいるか?
- 第2章 なぜ出生率は低下したのか?
- 第3章 女性の社会進出と「日本的な働き方」
- 第4章 お手本になる国はあるのか?
- 第5章 家族と格差のやっかいな関係
- 終章 社会的分断を超えて
- 参考文献
筒井淳也『仕事と家族』を読む。
— あんちぽくん (@kentaro) October 10, 2015