ストレングス・ファインダーで自分の強みを見つける

今年のペパボのテーマは、「強みを伸ばす」こと。苦手なことをがんばって伸ばすのもいいけど、それよりも持っている強みをどんどん伸ばしていって、苦手なところはチームで補う方がよろしかろう。そういうわけで、あらためて「自分の強みってなんだろうな?」と考えたりしています。 とはいえ、強みを自ら見出すのもなかなか難しいし、組織的にそういうことをやっていくには何らかの統一的な基準があったほうがよさそうです。それで、うちのEC事業部のマネージャーたちが取り組んでいた『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』による強み発見手法を試してみました。 さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0 作者: トム・ラス,古屋博子 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社 発売日: 2017/04/13 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る その結果、僕の上位5番目までの強みは、以下の通りでした。 収集 内省 学習欲 回復志向 戦略性 こうやってみると、なるほど確かにそうだなあと思うところもあるし、マネジメントを担う者としては、自分のことばかり考えているようにも思えて、ちょっとどうなんだろうかと思うところもありますね。総じて、T(戦略的思考力)、R(人間関係構築力)、E(実行力)、I(影響力)のうちではT(戦略的思考力)にずいぶん偏っているようです。 マネジャーの人々の結果を見てみると、調和性・アレンジ・個別化・親密性などなど、人間関係に関する強みが多いようです。それと比べると、僕はもっと個人のプロセス・成果を重視しているように見える。 ただ、自分自身の解釈としては、上記の文字面だけを見るとそうだけど、マネジメントにしても技術にしてもなんにしても、新しい状況を知的な楽しみに変換することで、自分自身すごく楽しめることになるし、だからこそモチベーションが湧くという働き方をしていると思うので、ちょっと違う印象を持っています。 組織を見ているといろいろ大変なことはあるにはあるわけですが、僕の場合、それらに対して直接的にマネジメント的な強みを持ってあたるというよりは、ひとつ抽象的な操作を挟んで、どのようにすれば自分自身の、つまりは組織にとっての学びになるかということを常に考えているつもり。それが上記した強みのリストとして現れているのだと思っています。 そんなわけで、自分自身の強みや、チームとしての強みの配置などなどいろいろ新たな発見が多い手法なので、是非みなさんもやってみてはいかがでしょうか。書籍を買わなくても、Web上のストアからもテストができるようです。 さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0 作者: トム・ラス,古屋博子 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社 発売日: 2017/04/13 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る

技術組織をスケールするためのCTL = チーフテクニカルリード

GMOペパボにおいて、チーフテクニカルリード(略称: CTL)という職位を作りました。既に以下のブログエントリで新任の2人がエントリを書いているところですが、制度設計者として、その背景を述べてみたいと思います。 diary.shu-cream.net ten-snapon.com GMOペパボの執行役員CTOになって1年半*1、その前に技術責任者に就任してから早2年*2が経過しました。その間、組織面においては、「いるだけで成長できる環境」*3、技術面では「事業を差別化できる技術」*4というコンセプトでやってきました。まだ道半ばではあるものの、逆にいえば、通るべき道は見えているともいえます。 そんな中で、この2年間、ずっと気にかかっていることがありました。 組織的にはエンジニアの人数が90人弱になり、近いうちに100人に達することでしょう。また、技術の移り変わりはますます早くなっていき、つい先日までクラウドとかモバイルシフトとか叫ばれていたのが、いまやIoTだとか人工知能だとか、どんどんいろんな新しいアジェンダがセッティングされていきます。そんな中で、私がCTOとしてひとり技術者組織を見るものとしてあり続けるのは、会社の成長にとってよくないのではないか?ボトルネックになりはしないか?ということです*5。 私が入社した4年数ヶ月前に比べると、その頃からしてもペパボの技術力は随分向上しました。これもひとえに、エンジニアを始めとする全スタッフが非常な努力を積み重ねてきた故だと思っています。いったんはCTOに評価等を含めて権限を集中することで技術指向に会社全体を向けてきましたが、そろそろ権限を移譲して組織を作っていくべき頃合いだと判断しました。また、肌感としてもそれができる人財がそろってきたとも感じています。 ペパボは、基本的には事業部制の組織形態をとっています。事業部制というのはつまり、会社のトップにはCEOがいるわけですが、そのCEOと会社という関係を個々の事業部に相似的に展開した形、つまり事業部長というのはミニCEOということになります。そのような体制を取ることにより、全社的なミッションの共有と、個々の事業における判断スピードの向上をともに実現しようというわけです。 (ペパボのエンジニア2016より) 同じ関係が、CTOについてもあり得るでしょう。どういうことか。全社の技術的方針の策定と、その実施のための技術者組織を形成することがCTOの職務だとしたら、それを事業部ごとに移譲していくということです。会社全体を見るCEO + CTOという組に対して、会社の部分集合をなす事業部全体を見るミニCEO + ミニCTOの組が、事業部それぞれにいるという組織デザインです。といってもよくわからないので、図示してみました。 (社内資料より) CTLの役割については、EC事業部のCTLに就任したけんちゃんくんさんが触れているので、引用します。 「チーフテクニカルリード」(以下CTL)は今回新しく作られた職位で、役割を以下のように定義しています。 部門方針・目標に基づき、部門全体の技術選択および技術者組織 について方針を決定し、実行する。 CTOが全社の技術方針と技術者組織をマネジメントするのに対して、CTLは部署内の技術方針と技術者組織をマネジメントするミニCTOというイメージが近いかと思われます。 また、higeponさんのテックリードの記事(Tech Lead(TL/テックリード)の役割 – サンフランシスコではたらくソフトウェアエンジニア – Higepon’s blog)に当てはめると、ペパボにおけるCTLは、エンジニアリングマネージャとしての職務を中心として、事業部やチームの状況に応じてテックリードの役割も担っていくということになります。 (GMOペパボEC事業部のチーフテクニカルリードに就任しました | けんちゃんくんさんの Web日記より) 現在のところ、諸事情によりEC事業部とホスティング事業部においてCTLの新設を行いましたが、近いうちにその他の事業部においても同様の体制をとるつもりでいます。このことのより、冒頭に述べたCTOのボトルネック問題の解消とともに、それぞれの事業部内においてCTLの裁量で様々なことを決定・実行できるようになり、エンジニアがより事業の成長に貢献できるようになることを期待しています。 *1:GMOペパボの執行役員CTO、2期目 *2:GMOペパボ株式会社の技術責任者に就任いたしました *3:「いるだけで成長できる環境」へ – ペパボテックブログ *4:「事業を差別化できる技術」を生み出す – ペパボテックブログ *5:もちろん、実務的にはチーフエンジニアを始めとする多くの方々の協力があってこそやってこれたわけで、別に私ひとりで何かしているということではないですが、組織構造上の問題として。

マネジメント3題噺: いいじゃん・いい感じに・バーンと

こんなことを書いた。 私のマネジメントスタイル、「いいじゃん」「いい感じに」「バーンと」の3つしか話してない。 — あんちぽちゃん (@kentaro) July 6, 2016 というだけだと雑過ぎて酷い人間にしか見えないので、補足する。 世の中にはいろんな環境があるだろうが、そもそもうちのような採用を重視している会社では、基本的に信用できる人々で構成されていることが前提。その上で、たくさんの人々との関係性の中で、成果を最大化するに際して重要だとおもうことに、以下の3つがある。 つねに肯定的・ポジティブ 仲間を信頼して任せる 大きなスケール観を持つ 細かいことや短期的な観点からいうと「もうちょっとどうかしてほしい」という気持ちになることはある場合もあるだろうが、そこはいったんぐっと引いて置いておく。その上で、上記の3つを伝え、お互いに内面化し、その考えを元に実行していくことがよかろうと思っている。 冒頭の発言に戻ると、それぞれ以下に対応している。 いいじゃん: つねに肯定的・ポジティブ いい感じに: 仲間を信頼して任せる バーンと: 大きなスケール観を持つ なにか厳しいことをいうことが必要な場面は必ずあるだろうし、そういうことをまるでいわないわけではないけれども、厳しさというのは、特に大きく期待をかけること、逆にいうと、3.のようなスケール観が小さい場合にこそ、「それはバーン感を持っている = スケール観があるのか?」という問いによって示す方がいいように思っている(大きな構想を持つことに書いたのでご覧ください)。 「バーン感」を出すことが本当に大切で、そのためのことに注力するという発想に仕向ける方が、細かい指摘を積み重ねるよりも実際はよっぽど厳しいことだろうし、それができれば細かいことだってちゃんとできるだろうと思う(「バーンとするにはどうしたらいいか?」という問題発見・解決思考に自ずとなるはずなので)。 というわけで私は、今日も「いいじゃん」「いい感じに」「バーンと」といい続けるのであった。 追記 このエントリをもう少し敷衍して話したときのスライドを以下にはっておきます。 speakerdeck.com

新卒スタッフ向けに「ペパボのエンジニア2016」という話をした

今年もまた、新しい仲間が増える季節がやってきました。新しく総合職・エンジニア・デザイナ*1たち、計13名が入社し研修の毎日を送っています。しばらくは職種関係なく、会社全体の成り立ちや共通してみにつけてほしいスキルについて学んでいるところです。 さて、今年もその研修の中でなにかしらお話をする機会をいただきました。技術部長という組織の長と、CTOという技術あるいはエンジニアという職種のトップという、直接には一致しない役職を兼任しているので、なにを紹介したらいいのかいつも迷います。話をする相手も、エンジニアだけではなく、全職種の人々ですし。 そこで、技術やエンジニアという職種をとっかかりにしつつも、より広い視点から我々がどうありたいのか、なにを目指しているのかという話を、これまでほうぼうで話したり書いたりしてきたことをまとめつつ述べてみました。 去年のスライドとかぶるところもあれば、今年初めて話す内容もあります。これらで述べられている明確なミッションを自分のこととして内面化し、そのことによってモチベーションがドライブされるような人々が、より有用なユーザ価値を磨き上げ、提供しつつ、日々楽しく暮らしていけるような組織になるとよいなと思っています。 *1:現在選考中の2017年卒からはカスタマーサポート職も募集しています。

植村修一『リスク時代の経営学』

「リスクマネジメント」という観点からビジネス書の古典を読みなおす、みたいな感じだったので、どういう新しい見方が示されるのだろうと期待して読んだら、各章の最後に「このように○○はリスクにどう対処するかという話なのであった」と述べられて終わるってな、かなりの肩透かし本。 しかし、それぞれの本のまとめは的確で、単にまとめ本だと思って読めば役に立つ。本書を読んで、バーニーの『企業戦略論』をちゃんと読もうと思えたので、読んでよかったといえるかもしれない。 リスク時代の経営学 (平凡社新書) 作者: 植村修一 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2016/02/17 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る はじめに 第1部 経営戦略編 第1章 戦略なき経営がもたらすリスク 第2章 「強み」を活かしてリスクを抑える 第3章 イノベーションがもたらすリスク 第4章 不確実性下の意思決定 第5章 マネジメントが意味するもの 第2部 リスク管理編 第6章 人や企業はなぜ失敗するのか 第7章 「沈まぬ帝国」はあり得るか 終章 「リスク時代」の経営とは あとがき 参考文献

釘原直樹『人はなぜ集団になると怠けるのか – 「社会的手抜き」の心理学』

ひとは集団になると、無意識のうちに手を抜いてしまう。それは、ひとばかりではなく他の動物、ゴキブリにすら見られるという。その意味では、自然選択されてきた特質なんだろうので、一概に悪いこととばかりはいえないが、ともあれ人間の組織においてそれがなぜ起こるかというと、以下の3つが挙げられる。 努力の不要性(誰かがやってくれる) 道具性の不足・欠如(やったところで大勢に影響しない) 評価可能性(やったところでバレない・報われない) 身近な人々からなる集団に限らず、もっと大きな集団においてもそれは起こるし、組織の取り組む内容に限らず、たとえばスポーツのようなものでも起こる。そういう話がたくさんあれこれと書かれているのだが、その対策として述べられていることも、最終的には上記3つをできるだけ担保することといえそうだ。 人はなぜ集団になると怠けるのか 「社会的手抜き」の心理学 (中公新書) 作者: 釘原直樹 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2014/02/14 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る はじめに 第1章 社会的手抜きと集団のパフォーマンス 第2章 社会的手抜きと個人や集団の特質 第3章 日常生活における社会的手抜き 第4章 国家と社会的手抜き 第5章 社会的手抜きとスポーツ 第6章 社会的手抜きの悪影響 第7章 社会的手抜きに反する現象 第8章 社会的手抜きに対する対策 釘原直樹『人はなぜ集団になると怠けるのか – 「社会的手抜き」の心理学』を読む。 — あんちぽちゃん (@kentaro) February 20, 2016

三谷宏治『「ハカる力」 プロフェッショナルをめざす人のための新ビジネス基礎力養成講座』

三谷宏治『観想力―空気はなぜ透明か』の続きで、新版的な位置づけで刊行されたこの本を読んだ。定量化しがたいものをどうやって切り口を見つけて定量化していくかという話。三谷さんの本は、いつもながらに事例を取材する範囲が広くて、単純に面白い。 プロフェッショナルをめざす人のための新ビジネス基礎力養成講座 「ハカる」力 作者: 三谷宏治 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン 発売日: 2016/02/03 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る はじめに 序章 「ハカる力」が世界を変えてゆく 第1部 第1章 まずはスケールづくりとグラフ化から 第2章 トップダウンとボトムダウン 第3章 ダイジなものとメカニズムを見抜く 第4章 基本「ハカる」演習 第2部 「ハカる力」で未踏領域に挑戦する 第5章 応用「ヒトをハカる」演習・ケース 第6章 応用「つくってハカる」ケース 第7章 応用「新しいハカり方を創る」ケース おわりに 参考図書・サイト

ハーバート・A・サイモン『意思決定と合理性』

サイモンが1982年に講演した内容を書籍化した本。合理性を、期待効用理論の前提するそれ、例の「限定合理性」、直感による合理性、進化の中で選択されてそれに分類して、読みやすく説明されているのがよい。 人間の合理性を高めるためにあれこれやってきた(それはたとえば「組織」もそのひとつ)サイモンが、理性はつまりは用具的なものに過ぎないのであってみれば、ヒトラーの「合理性」のようにインプットが間違っていたらしょうがないし、よりよい目標の理解のために視野を広げなければならないというのは、刺さる話だ。 意思決定と合理性 (ちくま学芸文庫) 作者: ハーバート・A.サイモン,Herbert Alexander Simon,佐々木恒男,吉原正彦 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2016/01/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (4件) を見る 序文 第1章 合理性にみるいくつかの考え方 第2章 合理性と目的論 第3章 社会的営みにおける合理的過程 注 文庫化にあたって 索引 ハーバート・A・サイモン『意思決定と合理性』を購入。 — あんちぽちゃん (@kentaro) January 22, 2016

三谷宏治『観想力―空気はなぜ透明か』

三谷宏治『戦略読書』の続きで、そこでも紹介されていたこの本を読む。 「観想力」というのは、ものごとをもっと多面的かつ広い見地から観る力ということだろうと思う。そのためには「視点」「視座」「切り口」の3つにおいて、常識にとらわれずに考える力が必要になる。といった話をいろんな事例を元に語る。『戦略読書』で長めに紹介した話が、そのまんまこの本にも載ってるものだから、さすがに使いまわしすぎだろうとあきれたが、面白いのでまあいっか。 観想力―空気はなぜ透明か 作者: 三谷宏治 出版社/メーカー: 東洋経済新報社 発売日: 2014/10/31 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る まえがき 第1章 常識を破壊する 第2章 正しい視点を持つ 第3章 高い視座から眺める 第4章 マトリクスを使いこなす 参考文献 あとがき

名和小太郎『情報セキュリティ』

今年から情報システム部門も責任範囲のひとつに入ったので、10年前の刊行当初に買って読んだこの本をあらためて読んだ。 教科書的な情報セキュリティ本のようにはかっちり整理されているわけじゃないけど、戦後のコンピュータやソフトウェアおよびネットワークからなる情報システムの流れの中で、セキュリティに関する問題、その対策がどう認識され、克服されたりされなかったりしたかという俯瞰した知見を得られる本。 背景を把握したので、次はもうちょっと教科書っぽいのを読もう。 情報セキュリティ―理念と歴史 作者: 名和小太郎 出版社/メーカー: みすず書房 発売日: 2005/10 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 6回 この商品を含むブログ (8件) を見る Ⅰ 理解の枠組み 1 情報システム、あれこれ 2 情報セキュリティ、あれこれ Ⅱ セキュリティの同時代史 3 情報システム:自由のための、ただし制御も 4 津新ネットワーク:秩序の基盤 5 越境データ流通:人権 対 市場原理 Ⅲ 脆弱性 6 ソフトウェア:秩序なし 7 インターネット:秩序の解体 Ⅳ 試行錯誤的な制度設計 8 監視:保護 対 侵害 9 情報資源:公表 対 秘匿 10 暗号論争:独占 対 競争 […]