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  • 結城浩『暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス』

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    セキュリティスペシャリストの試験でも受けてみようかなと思って、その勉強の前にひと通り暗号や認証についてこの本でさらっておこうと思って読んだのだが、素晴らしい本で、そんな目的はともかくとても面白かった。

    一応こういう仕事をやっているのでひと通りの概念は知ってはいるつもりなのだが、実践の中で必要に応じて知識を得ているだけなので、この分野についてこうやってまとまってちゃんと読むのは初めてだったので、勉強になった。繰り返しになるが、構成も説明も秀逸で、読み物としてとてもいい。オススメ。

    暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス

    暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス

    • はじめに
    • 本書の特徴
    • 本書の構成
    • 謝辞
    • 新版の刊行にあたって
    • 第3版の刊行にあたって
    • 第1部 暗号
      • 第1章 暗号の世界ひとめぐり
      • 第2章 歴史上の暗号 – 他人が読めない文章を作る
      • 第3章 対称暗号(共通鍵暗号) – 1つの鍵で暗号化し、同じ鍵で復号化する
      • 第4章 ブロック暗号のモード – ブロック暗号をどのように繰り返すか
      • 第5章 公開鍵暗号 – 公開鍵で暗号化し、プライベート鍵で復号化する
      • 第6章 ハイブリッド暗号でシステム – 対称暗号でスピードアップし、公開鍵暗号でセッション鍵を守る
    • 第2部 認証
      • 第7章 一方向ハッシュ関数 – メッセージの「指紋」をとる
      • 第8章 メッセージ認証コード – メッセージは正しく送られてきたか
      • 第9章 デジタル署名 – このメッセージを書いたのは誰か
      • 第10章 証明書 – 公開鍵へのデジタル署名
    • 第3部 鍵・乱数・応用技術
      • 第11章 鍵 – 秘密のエッセンス
      • 第12章 乱数 – 予測不可能性の源
      • 第13章 PGP – 暗号技術を組み合わせる職人芸
  • 「人工知能」Vol.30 No.3, 4(2015年5月号、7月号)

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    「これからは人工知能だ!」というわけで、人工知能学会に入会してみて学会誌を読んでみているところ。5月号と7月号が、学習工学やビジネス関連の話で、こういう話題もあるんだなあと懐の深さを感じる。

    特に、5月号の特集「イノベーションとAI研究」は、Web系企業が多数寄稿していて、すごく参考になった。というか、すごいなあと感嘆していた。うちもこういうとこに寄稿できる感じにしていきたいなあ。

    人工知能 2015年 5月号 [雑誌]

    人工知能 2015年 5月号 [雑誌]

    人工知能 Vol.30 No.4 (2015年07月号)

    人工知能 Vol.30 No.4 (2015年07月号)

  • 谷口忠大『イラストで学ぶ 人工知能概論』

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    中島秀之『知能の物語』の続き。情報系の学部生向けの教科書。以下の目次の通り、幅広いトピックについて語られている。

    「ホイールダック2号」というロボットを作るというストーリー仕立てで話が進んでいくので「なんのためにこれが必要なのか?」というのがわかりやすくてよかったと思う。

    イラストで学ぶ 人工知能概論 (KS情報科学専門書)

    イラストで学ぶ 人工知能概論 (KS情報科学専門書)

    • まえがき
    • 第1章 人工知能をつくり出そう
    • 第2章 探索(1):状態空間と基本的な探索
    • 第3章 探索(2):最適経路の探索
    • 第4章 探索(3):ゲームの理論
    • 第5章 多段決定(1):動的計画法
    • 第6章 確立とベイズ理論の基礎
    • 第7章 多段決定(2):強化学習
    • 第8章 位置推定(1):ベイズフィルタ
    • 第9章 位置推定(2):粒子フィルタ
    • 第10章 学習と認識(1):クラスタリング
    • 第11章 学習と認識(2):パターン認識
    • 第12章 言語と論理(1):自然言語処理
    • 第13章 言語と論理(2):記号論理
    • 第14章 言語と論理(3):証明と質問応答
    • 第15章 まとめ:知能を「つくる」ということ
    • 付録:ニュラールネットワークの学習則の導出
    • 章末問題の回答
    • ブックガイド
    • あとがき
    • 索引

  • 中島秀之『知能の物語』

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    松尾豊『人工知能は人間を超えるか』 – Kentaro Kuribayashi’s blogの続きで、人工知能系の読み物。読み物といっても、かなりハードだったけど。

    しかし、著者も哲学などから発想を得てそれを工学的に表現するというようなことをやったりしているし、広い分野について知る必要があるんだろうなあと思ったり。

    知能の物語

    知能の物語

    • 1 知能の探求
    • 2 知能に関する七つの不思議
    • 3 人工知能研究の歴史
    • 4 認識
    • 5 学習
    • 6 知識表現と推論
    • 7 チューリングテスト再考
    • 8 環境と知能
    • 9 自然言語と対話
    • 10 複雑系と知能
    • 11 知能の未来の物語
    • 12 おわりに
    • 読書案内
    • 謝辞
    • 参考文献
  • 青木峰郎『10年戦えるデータ分析入門』

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    版元のSBクリエイティブさんからいただきました。ありがとうございます。

    10年戦えるデータ分析入門 SQLを武器にデータ活用時代を生き抜く (Informatics &IDEA)

    10年戦えるデータ分析入門 SQLを武器にデータ活用時代を生き抜く (Informatics &IDEA)

    青木峰郎さんといえば、プログラマとしてのご活躍によって高名でいらっしゃるのはもちろんのこと、『ふつうのLinuxプログラミング Linuxの仕組みから学べるgccプログラミングの王道』を始めとする「ふつうの」シリーズなどでも有名な著者として昔から大変お世話になっており、私にとってはついつい文体が尊敬語化してしまうような存在です。「正確無比であること」「わかりやすいこと」「退屈させない面白さ」というのは、ふつうはその3つを同時に満たすことはできないCAP定理のようなものなのですが、青木さんの本はどれも「ふつう」でないものばかり。それはSQLとデータ分析を話題にしたこの本でも同様です。

    Webエンジニアが日常の開発において扱うRDBMSを用いたデータ処理は、Webアプリケーションへのユーザのリクエストに対してリアルタイムに応答を返す必要があるという文脈におけるものでしょう。そのようなOLTP(Online Transaction Processing)とは対照的な性質を持つ「データ分析」に本書は特化し、エンジニアのみならずプランナーをも対象として、そのためにどういう技術が必要なのかをいちから解説していきます。その射程は、ごく単純なselect文でのデータ抽出から始まり、joinによるテーブル結合を駆使したバスケット分析、果ては大規模なデータ分析基盤の構築にまで及びます。

    また、SQLについてはそれなりに経験があるよというひとにとっても役に立つ本であり得ます。これはまあ僕がものを知らないだけという話ではありますが、第8章で紹介されるウィンドウ関数について、本書で初めて知りました(MySQLには実装されていない)。たとえばp.170からのrankウィンドウ関数による月毎の売上ランキングを出す場面など、アプリケーションコード側でやっちゃうだろうなあと思えるような処理も一発でできる。これは便利。本書が説明に利用するPostgreSQL特有の話もちょいちょいあって、あんまり使ったことがないので面白い。

    あとの1/3は第2部として、著者の経験からきたのであろうデータ分析基盤システムの話。特に「SQL中心アーキテクチャ」の話が、自分でもそうしたものをなんとか作ろうと苦慮していたものとして、とてもためになりました。分析データベースの層を、ソースデータ層、DWH(データウェアハウス)層、アプリケーション層に分けること、バッチを冪等にしましょうという話、ワークテーブルやサマリテーブルはどんどん作って良いという指針など、あの時この本を読んでいれば手探りで試行錯誤する必要もなくてもっと楽だったのに、と思うことしきり。そういう意味では、直接の分析者のみならず、基盤作りを担当するひとも読んでおくとよいでしょう。

    そんなわけで、データ分析を志すエンジニアおよびプランナーにSQLを教えるというスタートから、データ分析基盤の構築やその際の具体的なtipsまで、「ある意味混乱した構成」(p.320)と著者自身が書くほどに多岐にわたる本書は、多くのひとにおすすめできる本だと思います。てか、僕自身がもう一度勉強し直さないとな……。

    10年戦えるデータ分析入門 SQLを武器にデータ活用時代を生き抜く (Informatics &IDEA)

    10年戦えるデータ分析入門 SQLを武器にデータ活用時代を生き抜く (Informatics &IDEA)

    • 第1部 SQLによるデータ分析
      • 第1章 10年戦えるデータ分析の技術
      • 第2章 さわってみよう RDBMS
      • 第3章 簡単!select文でデータ探索
      • 第4章 すべての分析は集計から始まる
      • 第5章 関数で自由自在に新しいカラムを作り出す
      • 第6章 ジョインを制するものはRDBMSを制す―基礎編
      • 第7章 ジョインを制するものはRDBMSを制す―応用編
      • 第8章 遅れて来た分析SQL最強の武器―ウィンドウ関数
      • 第9章 縦と横は難しい
      • 第10章 アクセスログのセッション分析をする
    • 第2部 分析システムの構築
      • 第11章 10年戦えるデータ分析システム
      • 第12章 ビッグデータに立ち向かう
      • 第13章 SQLバッチの技法
      • 第14章 本書を読み終えた後に
      • 付録 PostgreSQLのインストール
  • みやたひろし『インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門』

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    友近剛史他『インターネットルーティング入門 第3版』に引き続き、ネットワークまわりのお勉強。

    インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門

    インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門

    • 第0章 本書の使い方
    • 第1章 物理設計
    • 第2章 論理設計
    • 第3章 セキュリティ設計・負荷分散設計
    • 第4章 高可用性設計
    • 第5章 管理設計
  • 友近剛史他『インターネットルーティング入門 第3版』

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    インフラ基盤を刷新していく中で、このあたりの課題に対して自分の知識が欠けているので、基本から。

    インターネットルーティング入門 第3版

    インターネットルーティング入門 第3版

    • はじめに
    • 第1章 IPとルーティング
    • 第2章 ルーティングの概要
    • 第3章 OSPF
    • 第4章 RIP
    • 第5章 BGP
    • 第6章 MPLS
    • 第7章 仮想ネットワーク