こんにちは、あんちぽです。GMOペパボ株式会社で取締役CTOをしています。また、ペパボ研究所の所長や北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の社会人学生としても活動しています。本記事では、昨年の「2021年のエンジニア・研究者としてのアウトプットをふりかえる | 栗林健太郎」に続いて、今年のエンジニア・研究者としての対外的なアウトプットについてふりかえりたいと思います。
本記事は「🎅GMOペパボエンジニア Advent Calendar 2022」の10日目の記事です。9日目の昨日は「Slack→GAS→NotionでTODOリスト化を少し便利にする – にっしーのシンギュラリティ計画」でした。
今年のアウトプット
対外的なアウトプットについて、自己紹介ページに記録するようにしています。今年のアウトプットの内訳は、以下の通りです。
- 研究
- 査読付論文:1本
- 学位論文:1本
- 表彰:1件
- 執筆:2件
- 登壇:16件
- ポッドキャスト:3件
- 取材:2件
- 技術ブログ:13本
以下、それぞれについてふりかえっていきます。
研究
今年は年初に修士論文を完成させ、修士(情報科学)の学位を取ることができました。目標は博士号ですが、もしだめでも修士号は取っておきたいというのが最低限のラインでしたので、ひとまずクリア。まずは一安心ではありました。おまけに、優秀修了表彰もいただきました。

4月から博士後期課程に進学しました。そして、修論を元にブラッシュアップしたものを情報処理学会論文誌に投稿しました。条件付採録を経て、先日無事に採録通知をいただきました(出版は来年3月です)。ジャーナルに通すことは、まずは研究者の卵としての第一歩としての大きなマイルストーンなので、こちらも大変喜ばしいことでした。
しかし、研究テーマの流れの中で、2本目となるべき研究に着手できず、今後の頑張りが必要な状況です。
受賞・表彰
- 優秀修了, 北陸先端科学技術大学院大学博士前期課程(先端科学技術専攻), 2022年3月.
学位論文
- 栗林健太郎, 修士論文:IoTシステムの双方向データフローにおける設計と実装の複雑さを解消する手法の提案, 修士(情報科学, 北陸先端科学技術大学院大学), 2022年3月. [発表資料]
ジャーナル論文
- 栗林健太郎, 三宅悠介, 力武健次, 篠田陽一, Pratipad: IoTシステムを単一のプログラミング言語で統合的に構築できるデータフロー基盤の提案, 情報処理学会論文誌. (to appear)
執筆
今年は、WEB+DB PRESSの特集記事を2本書きました。1つ目は、Elixirコミュニティの皆さんとのElixirに関するもの。2つ目は、会社の同僚らとのWeb3に関するものでした。どちらもオーバービュー的な1章を書いたのですが、それぞれにけっこう苦労があったりもしました。
執筆に関しては、今もまさに進めている企画があります。なかなか筆が進んでいない状況なのですが、早く出せるよう取り組んでいきたいと思います。また、技術雑誌はもとより、技術書展に出したり、はたまた全然違うジャンル(文化的な内容など)の執筆活動もしてみたいと思っています。
- 栗林健太郎・高瀬英希・大聖寺谷一樹・山内修・隆藤唯章・齋藤和也, 「Elixirによる高速なWeb開発!作って学ぶPhoenix」, WEB+DB PRESS, Vol.127, 技術評論社, 2022年2月24日, ISBN 978-4-297-12705-3
- 栗林健太郎・吉本康貴・高岡佑輔・池田昭仁・黒瀧悠太・大和田純, 「作って学ぶWeb3 ブロックチェーン,スマートコントラクト,NFT」, WEB+DB PRESS, Vol.130, 技術評論社, 2022年8月24日, ISBN 978-4-297-13000-8
登壇
技術トーク、講演、パネルディスカッションでお話しする機会がありました。
技術トーク
今年は、6本でした。ミートアップでのLTで話したのがほとんどで、大きな舞台での技術的に込み入った内容の話はできませんでした。昨年のように、海外の技術カンファレンスで話すみたいなことに、またチャレンジしないとなあ。でも、技術トークは国際会議での研究発表の方でもっと頑張りたいというのもありますね。
- 栗林健太郎, Elixirで構成された3層構造からなるIoTシステムにおける分散機械学習・推論実行基盤へ向けて, K-Ruby#28 LT&もくもく会, 2022年1月.
- 栗林健太郎, WEB+DB PRESSで特集記事を書く方法, WEB+DB PRESS vol127 Phoenix特集こたつで座談会, 2022年3月.
- 栗林健太郎, 最近のElixir活動@2022年3月, K-Ruby#29 LT&もくもく会, 2022年3月.
- 栗林健太郎, asdfでRubyを使う, K-Ruby#30 記念大会, 2022年5月.
- 栗林健太郎, 最近の技術活動@2022年7月, K-Ruby#31 LT&もくもく会, 2022年7月.
- 栗林健太郎, Cookpad Code Puzzle for RubyKaigi 2022をやってみた!, K-Ruby#32 LT&雑談会, 2022年9月.
講演
今年は、講演を2本しました。ここでいう講演とは、主に依頼されて技術的な内容でないことについて話すというぐらいの意味です。聴いてくださる方がいるのはもちろんありがたいですし、自分の考えをまとめるいい機会になったという意味でも、ありがたいことです。ただもうキャリアの話はいいやという感じですが……。
- 栗林健太郎, キャリアを時間・空間軸で考える, type エンジニア転職フェア ONLINE, 2022年9月.
- 栗林健太郎, 先行きの見えなさを楽しさに変える ーVUCA時代のキャリア論と絶対他力主義ー, 技育祭2022【秋】, 2022年10月.
パネルディスカッション
今年はパネルディスカッションへのお声がけが多い年でした。8本ありました。自分一人で話すのと違って、話題が多岐にわたって楽しいことが多いです。一方で、モデレータをつとめることもありますが、もっと楽しい話を引き出せたはずだと、反省することしきりです。
- 栗林健太郎, 小賀昌法, 藤本真樹, 広木大地, パネルディスカッション / 日本CTO協会理事が質問に回答, オープンなCTO協会を目指して。協会活動と今後について大公開, 2022年5月.
- 栗林健太郎, 嶺井政人, 古田哲晴, 小泉泰郎, パネルディスカッション / CTOに知っててもらえると嬉しいファイナンス講座, 日本CTO協会コミュニティイベント, 2022年6月.
- 落合渉悟, 栗林健太郎, 黒瀧 悠太, パネルディスカッション / もうちょっと知りたいWeb3 〜うねりの最前から見えるトレンド〜, FGN Future Talks #2, 2022年7月.
- 安田壮平, 米丸まきこ, 福留大士, 栗林健太郎, 中垣雄, 勝眞一郎, パネルディスカッション / 奄美をデジタルのチカラでパワーアップ・かせぐ地域づくりに向けて, 招待制イベント, 2022年8月.
- 伊藤穰一, 栗林健太郎, 紫竹佑騎, BBB, パネルディスカッション / web3の未来とクリプトが果たす役割, CryptoBar P2Pポップアップストア in 博多オープン記念イベント, 2022年10月.
- 国分崇志, 植山類, 栗林健太郎, パネルディスカッション / 海外エンジニアに訊く海外でのキャリアパスの描き方, SAKURAJIMA HOUSE 2022, 2022年10月.
- 三谷隆, 栗林健太郎, 安藤健一郎, 稲守貴久, パネルディスカッション / CTO対談 ~技術責任者会議~, GMO Developers Day 2022, 2022年12月.
- 栗林健太郎, 堀江正信, 北川雅士, パネルディスカッション, エンジニアが社会人大学院で学ぶ意義 〜社会人との両立と卒業後の展望〜, 2022年12月.
ポッドキャスト
10月頃に「ポッドキャストに出たい!」とTwitterに書いたら、ありがたいことにお声がけいただき、出させていただきました(研究者・エンジニアとしてのものにカウントしていいのかどうかはともかく)。
うまく話せるかどうか心配でしたが、話してみると楽しくて、あっという間に時間が過ぎていきました。また、自分の話し方の癖にも気付かされたので、そのあたりは今後改善していきたいです。
- 富所亮, 栗林健太郎, ep 79 @kentaroと社会人大学院、Elixir について, Yokohama North AM, 2022年10月.
- 栗栖義臣, 長山武史, 栗林健太郎, 213. 歌舞伎の魅力 (ゲスト:あんちぽさん), Ossan.fm, 2022年11月.
- 栗栖義臣, 長山武史, 栗林健太郎, 214. 男性性とアンラーニング (ゲスト:あんちぽさん) | Ossan.fm, Ossan.fm, 2022年11月.
取材
今年は2本でした。少ない!「話を聞きたい」と思われるような活動をしていかないとなあ。
この2つは、六本木のawabarで飲んでいたら取材を受けることになったことがきっかけでできた内容です。特に後者は、文面にはあまり表れてはいないのですが、自分自身にとって人生のふりかえりとして機能するような体験で、とてもありがたい取材でした。
- 【人生グラフ】#5 六本木編 | IT業界がなかったら死んでいてもおかしくなかった – YouTube, 2022年9月.
- 「奄美でひとり、ブログを書いてたら」 東京でCTOになった元・地方公務員の物語 | ビズリーチ, 2022年11月.
技術ブログ
技術ブログはZennで書くようにしています。今年は13本。もっとコンスタントに書いていくようにしたい。書くべきネタはたくさんあったはずなのですが。
- evision事始め – ElixirでOpenCVを使って画像処理をする
- 通信経路が片方向の場合のElixirのノード間通信の挙動を確認する
- ElixirでTCP接続したクライアントからの入力を他の全クライアントにブロードキャストするサーバを作成する
- BanditとPlugによるElixir製のシンプルなWebアプリケーションをfly.ioにデプロイする
- OpenAPI GeneratorでMoralis APIへのElixirによるクライアントを作る
- asdfでRubyを使う
- Nervesが動作するホスト上でファイル操作をする
- Nerves on Raspberry Pi 4でカメラモジュールを使う
- Mix.install/2を用いてElixirライブラリの使い方を多数掲載しているmix_install_examplesが面白い
- Livebookの新機能Smart Cellsを使ってシェルコマンドを実行できるセルを作った
- CopilotとDeepLを使って(ほぼ)何も考えずにElixirでAtCoderの問題を解いてみた
- TinyEMU(RISC-Vエミュレータ)を用いてLinuxを動かす
- ChatGPTにスライドビューアアプリを作ってもらう
おわりに
こうしてふりかえってみると、それなりのボリュームがあるように思えました。しかし、それぞれのカテゴリについて、もっとやれたよなあという思いもあったりします。おしゃべり的な内容も続けてはいきたいのですが、今後はもっと研究・技術の面でのアウトプットを増やしていきたいものです。