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それは単に「フィード」と呼ばれるべきだ

URI Schemes 云々の文脈にあんまり関係のない話を持ち出して申し訳ないのだが、それ自体は大変に参考になる繊細な議論をしている一方で、「RSS フィード」だとか「RSS リーダー」だとかいう大雑把なフレーズが無反省に用いられていることに違和感(謎)を覚えたので、いい機会だしなーってんで、いままで気になってたそのあたりのことについてちと述べてみる。
いうまでもないが、そもそもフィードとはいわゆる RSS あるいは Atom には限られないし、ましてや XML である必要もない。del.icio.usRSS の他、JSON によるフィードも提供しているし、他の形式だっていくらでもあり得る。つまり、RSS や Atom あるいは JSON といったものは、フィードが運ぶ何か(それが「何」なのかについては後述)を、実際にシリアライズする際のフォーマットの違いに過ぎない。
だから、The feed URI scheme (PRE-DRAFT) は以下のように述べ、feed スキームが同定するのはなにも XML で記述されたファイルには限られないとしているのだ。

The “feed” URI scheme is used to identify network retrievable resources that contain information syndicated from one or more news sources. As of this writing the most popular way to represent a syndication feed is through the use of an XML based file format such as [RSS0.91], [RSS1.0] or [RSS2.0]. The “feed” URI scheme is not limited to identifying the aforementioned XML-based file formats but can and should be used to identify other network retrievable resources used to syndicate information from a particular news source.

また先述の「フィードが運ぶ何か」とは、”other network retrievable resources used to syndicate information from a particular news source” であることも併せて理解されたい。それは当然、フィードのフォーマットとは何の関係もない。
とすれば、feed スキームとやらの話をする際に、「RSS フィード」だとか「RSS リーダー」などと、なぜことさらに “RSS” なる単語を持ち出す必要があるのだろうか。単純に「フィード」といえば済むことだし、実際問題、当該エントリにおいて実際に用いられている文脈においても、表現を適切に改めれば「フィード」という言葉で事足りる。
たとえば RSS として規格化されたフォーマットにより記述されているフィードを名指したいのなら、単にそれを RSS と、あるいは厳格を期すなら、バージョン付きで RSS 0.91/1.0/2.0 等と呼べばいいのだし、それが Atom なり JSON なりなら、それぞれについて同じように呼べばよい。ただ、それらはあくまでも単なるそれぞれのフォーマットの呼称に過ぎず、フィード全体を僭称してよいものではない。
急に話題が飛ぶように思えるかもしれないが、Plagger が素晴らしいのは、それがネットの驚くほど広大な領域を、前述の “other network retrievable resources used to syndicate information from a particular news source” つまり、フィードとして可搬な情報が溢れる世界としてラディカルに抽象化したことで、その広大な領域下であり得る様々な発想が「それPla」と化してしまったかのような事態をもたらしたがためである。
Plagger にとっては、たとえばごく普通の RSS 等によって提供されている情報と、MacBook に加えた振動とは、同じくフィード互換のデータへ変換・可搬な入力として扱われ得る(「YappoLogs: Push::Move – MacBookが動かされるのを検知してPlaggerのjobが走るPlugin」参照のこと)。多分、Plagger を知らないひとにとってはなにをいってるのかわからないと思う。要するに、Plagger が対象領域としている範囲は、つまり、フィードという言葉が指し示し得る範囲は、それぐらい広いのだ。「RSS フィード」なんて言葉からは、そのような発想は 100 年経っても出てこない。
なんか書くのがめんどくさくなってきたので、結論を。フィード全体と、フィードを具体的に表現するフォーマットとは別のものであり、単に「フィード」といえば済む文脈で「RSS フィード」などと贅言するのは、誤解の元である。「フィード」の意味で単にそれを RSS などと呼ぶ、2006 年にもなっていまだに頻繁に見かける誤りにも、併せて厳に留意したいものだ。また、このエントリが「フィード」という言葉を連呼しているからといって、いわゆる「浩」的な諸々とはなんら無関係であることは、いうまでもない。

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フィードリーダの良し悪しを判断する前に考えておきたい 2, 3 の事柄

フィードリーダで大量の情報を素早く捌くライフスタイルは、世間にはまったくもって浸透してはいないというのが現状みたい。

購読している RSS の数を聞くと、半数近い60人が「5個以下」と回答した。これに「6〜10個」(33人)、「11〜20個」(14人)、「21〜30個」(11人)と続き、9割強が購読 RSS 30個以下という結果となった。ちなみに100個以上の RSS を購読しているのは計4人。

「半数近い60人が「5個以下」と回答した」って、登録数 5 個以下なんて「フィードリーダなんて使ってません」っていってるのと同じじゃねーか、そんな統計に意味あんのか?とか思ったりもするのだけど、しばらく前に人力検索はてなで行われたアンケート「人力検索はてな – RSS リーダを使用している人に質問です。 登録しているフィード数はいくらですか?」を見ても、たいして変わらない結果が出てるのよね。

ただまぁ、Web から情報を取得する手段はなにもフィードリーダに限るわけでもないし、そもそも馬鹿みたいに Web ばかり眺めてられるほど暇な人なんて、そんなにいはしない。

登録数が50とかそこらであれば、RSSリーダーなんて何使っても大差ないんだろうけど、たくさんの記事に目を通したいと思ったら他に選択肢がなくなる。まあ選択肢のある人らは好きなの使えば良いと思う。

選択肢のあるひとたちは、自分がフィードリーダに何を求めているのかもわからないまま、やれ Bloglines / FreshReader / FeedPath / はてな RSS / livedoor Reader / etc. のあれがいいだとかそれが悪いだとか述べ、身勝手な言説をまき散らしていく。そういう文章を読むたびに、好き嫌いを述べる前に、まずは論者の情報に対する態度や、おかれている条件を明らかにしてくれないと、いってることの妥当性を判断しようがないでしょ?とか思う。
とりあえず、あなたがフィードリーダの比較を述べたいと思ったら、少なくとも以下の 2 点につき、あらかじめ明らかにするべきだろう。

  • 登録フィード数(情報に対する主観的な態度)
  • 一日に Web 閲覧に割ける時間(情報に対する客観的な条件)

そうすればあなたのエントリを読む者は、あなたが情報に対するにどのような人物なのか、以下のマトリクスを用いることで主観・客観の両面から正確に把握することができる。

フィード数多い フィード数少ない
時間たくさん Web 中毒の暇人 暇だけど情報にはあんまり興味がないひと
時間少ない 素早く大量の情報をさばかなければならないひと 普通のひと

そのことにより、情報に対してどのような態度を取り、また、どのような条件下にある者にとって、あなたの論評が適合するのかどうかを正確に判断できる。

© 2020 栗林健太郎

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