日記はScrapboxに移動しました。

  • 2022年のエンジニア・研究者としてのアウトプットをふりかえる

    こんにちは、あんちぽです。GMOペパボ株式会社で取締役CTOをしています。また、ペパボ研究所の所長や北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の社会人学生としても活動しています。本記事では、昨年の「2021年のエンジニア・研究者としてのアウトプットをふりかえる | 栗林健太郎」に続いて、今年のエンジニア・研究者としての対外的なアウトプットについてふりかえりたいと思います。

    今年のアウトプット

    対外的なアウトプットについて、自己紹介ページに記録するようにしています。今年のアウトプットの内訳は、以下の通りです。

    • 研究
      • 査読付論文:1本
      • 学位論文:1本
      • 表彰:1件
    • 執筆:2件
    • 登壇:16件
    • ポッドキャスト:3件
    • 取材:2件
    • 技術ブログ:13本

    以下、それぞれについてふりかえっていきます。

    研究

    今年は年初に修士論文を完成させ、修士(情報科学)の学位を取ることができました。目標は博士号ですが、もしだめでも修士号は取っておきたいというのが最低限のラインでしたので、ひとまずクリア。まずは一安心ではありました。おまけに、優秀修了表彰もいただきました。

    4月から博士後期課程に進学しました。そして、修論を元にブラッシュアップしたものを情報処理学会論文誌に投稿しました。条件付採録を経て、先日無事に採録通知をいただきました(出版は来年3月です)。ジャーナルに通すことは、まずは研究者の卵としての第一歩としての大きなマイルストーンなので、こちらも大変喜ばしいことでした。

    しかし、研究テーマの流れの中で、2本目となるべき研究に着手できず、今後の頑張りが必要な状況です。

    受賞・表彰

    • 優秀修了, 北陸先端科学技術大学院大学博士前期課程(先端科学技術専攻), 2022年3月.

    学位論文

    ジャーナル論文

    • 栗林健太郎, 三宅悠介, 力武健次, 篠田陽一, Pratipad: IoTシステムを単一のプログラミング言語で統合的に構築できるデータフロー基盤の提案, 情報処理学会論文誌. (to appear)

    執筆

    今年は、WEB+DB PRESSの特集記事を2本書きました。1つ目は、Elixirコミュニティの皆さんとのElixirに関するもの。2つ目は、会社の同僚らとのWeb3に関するものでした。どちらもオーバービュー的な1章を書いたのですが、それぞれにけっこう苦労があったりもしました。

    執筆に関しては、今もまさに進めている企画があります。なかなか筆が進んでいない状況なのですが、早く出せるよう取り組んでいきたいと思います。また、技術雑誌はもとより、技術書展に出したり、はたまた全然違うジャンル(文化的な内容など)の執筆活動もしてみたいと思っています。

    • 栗林健太郎・高瀬英希・大聖寺谷一樹・山内修・隆藤唯章・齋藤和也, 「Elixirによる高速なWeb開発!作って学ぶPhoenix」, WEB+DB PRESS, Vol.127, 技術評論社, 2022年2月24日, ISBN 978-4-297-12705-3
    • 栗林健太郎・吉本康貴・高岡佑輔・池田昭仁・黒瀧悠太・大和田純, 「作って学ぶWeb3 ブロックチェーン,スマートコントラクト,NFT」, WEB+DB PRESS, Vol.130, 技術評論社, 2022年8月24日, ISBN 978-4-297-13000-8

    登壇

    技術トーク、講演、パネルディスカッションでお話しする機会がありました。

    技術トーク

    今年は、6本でした。ミートアップでのLTで話したのがほとんどで、大きな舞台での技術的に込み入った内容の話はできませんでした。昨年のように、海外の技術カンファレンスで話すみたいなことに、またチャレンジしないとなあ。でも、技術トークは国際会議での研究発表の方でもっと頑張りたいというのもありますね。

    講演

    今年は、講演を2本しました。ここでいう講演とは、主に依頼されて技術的な内容でないことについて話すというぐらいの意味です。聴いてくださる方がいるのはもちろんありがたいですし、自分の考えをまとめるいい機会になったという意味でも、ありがたいことです。ただもうキャリアの話はいいやという感じですが……。

    パネルディスカッション

    今年はパネルディスカッションへのお声がけが多い年でした。8本ありました。自分一人で話すのと違って、話題が多岐にわたって楽しいことが多いです。一方で、モデレータをつとめることもありますが、もっと楽しい話を引き出せたはずだと、反省することしきりです。

    ポッドキャスト

    10月頃に「ポッドキャストに出たい!」とTwitterに書いたら、ありがたいことにお声がけいただき、出させていただきました(研究者・エンジニアとしてのものにカウントしていいのかどうかはともかく)。

    うまく話せるかどうか心配でしたが、話してみると楽しくて、あっという間に時間が過ぎていきました。また、自分の話し方の癖にも気付かされたので、そのあたりは今後改善していきたいです。

    取材

    今年は2本でした。少ない!「話を聞きたい」と思われるような活動をしていかないとなあ。

    この2つは、六本木のawabarで飲んでいたら取材を受けることになったことがきっかけでできた内容です。特に後者は、文面にはあまり表れてはいないのですが、自分自身にとって人生のふりかえりとして機能するような体験で、とてもありがたい取材でした。

    技術ブログ

    技術ブログはZennで書くようにしています。今年は13本。もっとコンスタントに書いていくようにしたい。書くべきネタはたくさんあったはずなのですが。

    おわりに

    こうしてふりかえってみると、それなりのボリュームがあるように思えました。しかし、それぞれのカテゴリについて、もっとやれたよなあという思いもあったりします。おしゃべり的な内容も続けてはいきたいのですが、今後はもっと研究・技術の面でのアウトプットを増やしていきたいものです。

  • フルサイクルエンジニアリングのすすめ:『事業をエンジニアリングする技術者たち―フルサイクル開発者がつくるCARTAの現場』

    本書カバー(画像は版元のWebページより)

    事業をエンジニアリングする技術者たち ― フルサイクル開発者がつくるCARTAの現場』(版元のWebページ)をいただきました。ありがとうございます。本記事では、副題となっている「フルサイクル」という言葉に着目して、本書について簡単に紹介します。

    本書の位置付け

    本書は、2020年に刊行された『Engineers in VOYAGE ― 事業をエンジニアリングする技術者たち』の「改題改訂版」として刊行されたものです。

    まず「改訂」の方から。前著の刊行から2年が経過し、「事業」運営母体も大きく変わりました。それを受けて、各章の最後にこの2年のアップデートが付記され、さらには新規事業と経営基盤システムの統合を扱う2章分が追加されました。

    「改題」の方はというと、サブタイトルが新たに追加されています。前述の運営母体の変更による内容とともに、「フルサイクル開発者」という言葉が明記されていることに、一瞥して気づかれることでしょう。

    フルサイクル開発者とは何か?

    「フルサイクル開発者」という言葉は、前著においても幾度も言及されていました。今回の「改題改訂版」では副題にまで取り上げられていることもあり、本書のコンセプトをひとことで示す重要な概念としての位置付けに格上げされたようです。

    そのフルサイクル開発者について、本書では以下のように解説されています。

    「ビジネスアイディアからお客さんに届くまで」を1つのサイクルとみて、それを全て一人の技術者でもやれるようにしよう、というのがフルサイクル開発者のイメージです。

    (中略)

    ビジネスの一番最初から運用して観測するというフィードバックサイクルを回せるのが「フルサイクル」のイメージ(後略)。

    本書p.61

    元々はNetflixのブログから取り入れた概念であったそうです。「Netflixにおけるフルサイクル開発者―開発したものが運用する – CARTA TECH BLOG」として訳出されています。この記事では、フルサイクル開発者とは「ソフトウェア開発ライフサイクル」を通じた職務を持つエンジニアであり、以下の役割が期待されています。

    フルサイクル開発者はエンジニアリングの原則をライフサイクルのあらゆる分野に応用する。開発者の視点で問題を評価し、「このシステムを動かすために必要なものをどう自動化できるか?」「どのようなセルフサービスツールがあればパートナーが開発者の手を借りずに自分の疑問に答えることができるだろうか」と問う。人間中心よりもシステム中心に考え、手動で行われていたものを自動化することによって、チームはスケールする。

    Netflixにおけるフルサイクル開発者―開発したものが運用する – CARTA TECH BLOG

    ここでいわれるような「ライフサイクルのあらゆる分野」にエンジニアリングを適用し、問題解決できる人々のことを「フルサイクル開発者」と呼ぶのでしょう。

    ソフトウェアエンジニアリングの対象

    ところで、本書が主題とするソフトウェアエンジニアリングについて、『Googleのソフトウェアエンジニアリング ―持続可能なプログラミングを支える技術、文化、プロセス』では、以下のように述べてます。

    本書が共有する重要な見識に、ソフトウェアエンジニアリングとは「時間で積分したプログラミング」とみなせる、というものがある。自分たちのコードを、着想し、導入し、保守し、廃止するまでのライフサイクルを通じて持続可能(sustainable)なものとするためにコードに導入できるのは、どんなプラクティスだろうか。

    本書では、コードを設計し、コードのアーキテクチャーを定め、コードを書いていく際に、ソフトウェア組織が留意すべきと我々が感じる 3 つの根本的原則に重点が置かれている。

    時間と変化

    コードがその存続期間にわたりどのように適応していかなければならないか

    スケールと発展

    進化するにつれて組織がどのように適応していかなければならないか

    トレードオフとコスト

    「時間と変化」、「スケールと発展」から得られる教訓に基づき、組織がどのように決定を行うべきか

    『Googleのソフトウェアエンジニアリング ―持続可能なプログラミングを支える技術、文化、プロセス』p.x

    ここでは「サイクル」という言葉の含意がより広く捉えられているように思われます。すなわち、「自分たちのコードを、着想し、導入し、保守し、廃止するまでのライフサイクル」とはつまり、開発サイクルを超えた「事業ライフサイクル」というべきより広い概念ですし、サイクルに応じた組織のスケールについても言及されています。

    「フルサイクル開発者」という言葉の可能性をより広げるためには、その「サイクル」の円周をさらに広げて、「事業ライフサイクル」として捉えると良いのではないでしょうか。事実、本書における「サイクル」とは、最近ローンチされた新規事業から、長いものでは20年に及ぶ事業まで様々な来歴を持つプロダクトという時間的スケールにおいて語られているのであり、それは日々の活動としての開発サイクルを包含した、よりスケールの大きな営みの連鎖の謂なのですから。

    このようにソフトウェアエンジニアリングの定義とその対象を捉え直した時、本書が広告配信、EC関連サービス、メディア、人材採用等の、一見すると取り止めもなく思えるほどの幅広いサービスにわたり、それぞれの事業を支えてきたエンジニアたちの奮闘ぶりを余すところなく伝えてくれることの、本当のありがたみがわかるというものでしょう。

    ソフトウェアエンジニアリングの3軸

    本書における語り手たちが勤務するCARTA HOLDINGSと前身であるVOYAGE GROUPは、長きにわたって「技術力評価会」を運営してきたことで有名です。それがどのようなものであったかは、同社をCTOとして率いてきた元CTOの小賀さんによる「5分でわかる技術力評価会」をご覧ください。

    ところで、筆者が取締役CTOとして勤めているGMOペパボ株式会社においても、長い間エンジニア評価制度というものを運用してきました。元々はエンジニアのための制度だったのですが、数年前から同じ枠組みを全職種に展開するに至り、全社的な制度として運用しています。そこでは、「能力」(エンジニアであれば技術力といわれるようなこと)を、以下の3軸によって定義しています。

    GMOペパボ会社紹介資料」p.28より

    「フルスタックエンジニア」という言葉が広く用いられるようになって久しいようです。「フルスタック」という時の水準に対する認識次第では、もちろん望ましいエンジニア像です。一方で、スタックの深さというのは、それ自体ではこれまで述べてきたソフトウェアエンジニアリングという観点からは、複数ある軸のひとつであるという位置付けになるでしょう。すなわち、いかに時間の経過(ライフサイクル!)をその対象とし得るのかという問題です。また、上図では「影響を広げる力」として、他者に対するインパクトもまた重視しています。

    フルサイクルエンジニアリングの担い手たちへ

    本書のいう「フルサイクル開発者」とはすなわち、ここでいう「作り上げる力」のみならず、「先を見通す力」によって「時間で積分した」(前掲書)価値を実現し、「影響を広げる力」によって事業全体を通じて影響力を行使するような気概を持つエンジニアのことをいうのではないでしょうか。そして、実際に本書に登場するのは、きれいごとばかりではない事業運営の中で、時には「つらい」と落ち込んだり、かと思えば「アンガー駆動」で勢いづいたりする、等身大のエンジニアたちです。その奮闘ぶりは、読者を心底から勇気づけてくれるでしょう。

    また、前述のNetflixによる記事(の翻訳)にあるように「フルサイクル開発者はエンジニアリングの原則をライフサイクルのあらゆる分野に応用する」のであり、また、ソフトウェアエンジニアリングの対象が、「時間と変化」「スケールと発展」という必然に向き合うべき組織もライフサイクルにおける重要なファクターなのであれば、マネジメントという営みもまた、フルサイクルエンジニアリングの射程に入ってくるでしょう。そのあたりについては『エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング』がいまや古典の風格をもって語るところです。

    また、そのような意味で捉えたとき、エンジニアリングとは何も職種としてのエンジニアのみが担うべきことではもはやありません。本書の帯に再録された@tokorotenさんのツイートにある通り「アフターDXの働き方がここにある。非エンジニア必見(中略)企業のDX担当者には必携の一冊」であり、いまや誰もがフルサイクルエンジニアリングの担い手である自覚を持ってことにあたるべきであるということになるのではないでしょうか。

    そのような人々に向けて、本書は改題改訂版としてあらためて我々の前に再登場してきたのでしょう。フルサイクルエンジニアリングを担うすべての人々に、ご一読されることをおすすめします。

  • 2022年8月6日

    昨晩は、飲んで帰った後に、動画を観たり、以前読んだ『能―650年続いた仕掛けとは―』の再読を始めたりして、遅くまで起きていた。そのせいで、なかなか起きられず、昼頃まで寝ていた。

    Kとランチに出かける。「ちむどんどん」を観始めて以来、沖縄料理を食べたいといっていたのだが、ようやく訪ねるに至った沖縄料理のお店。以前、自分は一度だけ訪ねたことがあったので、その時はそばを食べたが今度は別のものにしてみた。その後、スタバでコーヒーを飲みつつ、しゃべったり、お互い本を読んだりなど。

    アニメ映画の「犬王」を観るために、下北沢へ。少し早く着いたので、映画館近くの「ネロリハーブ」というお店でハーブティをいただきつつ、本読み。けっこう苦かったが、体に良さそうな感じがした(よくわからない)。劇場は、下北沢トリウッド。初めてきたなあ。マンションの2階部分の一部をミニシアターにしている感じで、すごくコンパクト。というか、椅子がすごく狭い。

    「犬王」は、九龍ジョーさんがパンフに解説を書いているということで気になっていたのだが、能に入れ込みつつあるのでいよいよ観ておくかという気分になったのだった。最初から最後まで全力疾走する感じ。松本大洋さんがキャラデザをしているとのことだが、演出のリズム感も似たところを感じる。犬王の声優を勤めるアヴちゃんという方のパフォーマンスが素晴らしくて、そこに一番驚いた。一方で、これは自分の趣味の問題だが、友有のロックが受けつけなくて、そのパートが長過ぎるように思えてしんどかったなあ。

    その後、B&Bにいってみたらイベントで書店営業が終わっていたので、その奥の「発酵デパートメント」というお店で食事。「七本鎗 純米大吟醸 渡船」と鮎の熟鮓のペアリングから始まり、「稲とホップ CRAFT series 2021」を飲みつつ発酵食品の盛り合わせ、発酵ハヤシライスをいただく。美味しい。けどちょっと高いかなあ。

    しかし、日本酒の世界はあまり飲んでいなかったこの5年ぐらいでずいぶん様変わりしていて、すごく面白くなているなあ。10年ほど前は、流行りに乗じただけのように思えるお酒が雨後の筍のように増えて、つまらなかったのだが。

    さらに京王井の頭線西口近くの「Shisha Bar Smoky 下北沢店」に寄る。そこで本の続きを読み、読了。さらに、謡を習える場所をググったり、Artistspokenの九龍ジョーさんの話を聞く。5つぐらいためてしまっていた。

    帰宅して、銕仙会のYouTubeチャンネルで公開されている「松風」を観る。しかし、動画でじっくり観るようなものではないなと思い直し、流しつつ『芸術新潮 2012年 12月号』(特集:はじめて観る能)を読み始める。これはKの蔵書。能の歴史についての文章もあったが、やっぱりどうやって能がいまのような緊張感のある様式的なものになったのか、世阿弥以前の中世の様子が見えない。

    今日の日記もそうだが、記録のために触れた文物についての固有名詞がたくさん並ぶのだが、自分の日記を検索して調べ物の端緒とすることも多い。最近、またScrapboxを使い始めているのだが、むしろこの日記こそScrapboxで書く方がいいのではないかと思い始めてきた。どうしようかなあ。決断できなくて、今日はこちらで書いたけど。

  • 2022年8月5日

    今日はいつもよりは早く起きられたので、早めに仕事を始める。ミーティングを終えた後に出社して、夏休み明けに収録する講演のスライドを作り始める。夕方には、インターン生の成果発表会。それまで触れたことのなかった課題や技術に素早くキャッチアップして、形になるところまで持っていっていて、すごい。優秀だー。

    夜は、Hemelミヤマスで食事。この店は道玄坂にある店の2号店みたいな感じだと思うのだが、こちらはだいぶオシャレな感じで、食べ物もさらに美味しい感じ。道玄坂の方は、もっとコアなビール好き向けという感じだったのだが(それはそれで好き)。京都醸造の「古道をゆく 活命」から始まり、いくつかワイン。どれも美味い。アルザスのピノもシードルもいい。またちょいちょい来たい感じだなあ。

    少女時代が5年ぶりにカムバックしたGirls’ Generation 소녀시대 ‘FOREVER 1’のMVを見る。往年の迫力があり、また曲調も彼女ららしいポップな感じで、懐かしい感じがある。ただ、この間にずいぶんと世の中も移り変わったわけで、そういう意味ではどう向き合えばいいのだろうという気もする。さらにENDoさんのライブ配信「GIRLS’ GENERATION 15th Annniversary 勝手にお祝い生配信。」を観る。うれしそう。

    花よりも花の如く』の続きを読み、読了(既刊の20巻。まだ続いている)。能の世界に引き込んでくれた、素晴らしい漫画。主人公の恋模様については、あまりにもうだうだし過ぎていて、やきもきする感じだったが。

  • 2022年8月4日

    朝、うつらうつらしつつ、右足親指付け根に支障を感じる。お酒を飲んだ後に長く寝ていたせいで、水分が失われたのか。あまり大きな痛みではないが、時間が経つとどうなっていくかはわからない。薬も飲んでるのになあ。困ったものだ。

    今日は、インターンに来ている方々をオンラインでお話しする機会を持たせてもらい、あれこれ聞いてみた。みなさんそれぞれに優秀で、若い人々は年々優秀になっていくという思いが強まるばかりである。とても良いことだなあ。年を取っていく分だけ新しいことも学んでいこうという気持ちになる。

    夕食をとりながら、NHKプラスで佃と月島の番組を観た。以前も観たことがあると、途中で気づいた。佃という場所の成り立ちのロマンには、心惹かれるものがある。あのあたりにはあまり住みたい気持ちにはならないが、佃には住んでみたい。一度考えたことがあって、伺ったこともあるKの友人のマンションを調べてみたのだが、家賃的に難しかった。

    TOEICのリスニングについて、問題がたくさん入っている本を少しずつやっているのだが、どうにもうまく解けなくて、やり方を変える方がいいんじゃないかと思う。それでスタディサプリのTOEIC対策を試してみたが、どうにも合わない。やっぱり公式問題集をじっくりやることにする方がいいのではないかと思い直して、初めて注文してみた。週末、図書館にでもこもってやってみよう。

    本を広げて勉強できるスペースがなく、それで集中できないというのもあるのかもしれない。本番の試験の時が、多分一番集中できている気がする。練習の時もそれに近いぐらい集中してやらないと、あまり上達しないだろうという気がする。早いとこ、いい感じのやり方を見つけなければ。

    WordPressのエディタがおかしくなっていて、以前からIMEとの相性が悪かったのだが、今度はEscを押すと画面全体からフォーカスが外れて、なぜか先頭のタイトルにカーソルが移動する状態になり、IMEの操作でEscを多用するので非常に鬱陶しい。自前でブログを作って移行したいという気持ちを長く持っているのだが、面倒でやれてないんだよなあ。

  • 2022年8月3日

    朝、なかなか決めた時間に起きられないなあ。次の研究テーマがバシッと決まっていないからに違いない。そこがボトルネックなのであれば、ちゃんと解決しないとだなあ。

    出社して、ミーティングしたり、その合間に書き物をふたつほど書いたりなど。集中モードにうまく入れた感じで、思いのほかすんなり進めることができた。いつもこんな感じでやっていければいいなあ。

    丸善ジュンク堂に寄って、国立劇場・編『日本の伝統芸能講座 舞踊・演劇』、林和利・編『能・狂言を学ぶ人のために』、戸井田道三・監修、小林保治・編『能楽ハンドブック』を購入。ずっと避けていた能であったが、ようやく機が熟してきたので、学び始めた。これで日本の伝統芸能について大枠が繋がってきたので、『日本の伝統芸能講座』シリーズのこの本を買うに至った。まずは一通り読んでみよう。

    しかし不思議なのは、それまではもっと民衆的であったのだろう猿楽から、世阿弥が夢幻能を確立して、江戸時代の武士のための芸能としての式学から今につながる能楽(これ自体は明治以降の呼び名だが)に至ったというわけだが、ああいう様式的な、緊張感あふれる芸能を庶民が楽しんで観ていたとはとても思えない。江戸の武家文化的な影響を大きく被る前の、もっといえば観阿弥・世阿弥以前の猿楽がどういうものであったのかを知りたい。

    Goodbeer Faucetsを久しぶりに訪ねた。タップの数が少なくなっていて、その代わり缶ビールを出すようになっている。その内容はあまりわからないのだが、マニアックなものであるように思われる。それはそれでいいのかも。クラフトサイダーも扱うようになっていて、一本飲んでみた。強めのシードルみたいな感じ。最近、ますますお酒に弱くなってしまい、ビール2杯飲んだだけで、体がズーンと重くなってしまう。

    帰宅して、早々に就寝。

  • 2022年8月2日

    9時には起きたいと思いつつ、寝るのが3時過ぎてしまうのでなかなか起きられないという日々が続く。早く寝ればいいのだが。昨晩も『花よりも花の如く』の続きを読んで遅くまで起きていた。今日は在宅ワーク。ミーティング1on1、CTO協会仕事など。

    ジムで運動。土曜日にレッグプレスをやったのがまだ効いていて、筋肉痛が残っている。肩、腕、胸まわりをやる。あんまりガッツリやり過ぎて筋肉痛が酷くなり過ぎるのもイヤなので、あまり追い込まない感じで。それでも、やるたびに少しずつ力がついている感じがする。様子を見つつ、ジョギング。10分ほどで膝がやや痛む。少し歩いて休んだ後、再開。結局20分ちょっとで終わり。もうちょっとかな。その後は、開脚ストレッチ。

    梅棹忠夫『行為と妄想 わたしの履歴書』を読む。数ヶ月前に山崎正和関連の本をいくつか読んだのだが、梅棹についても似たような関心から。こういう巨大としか形容のしようのない大人物の活動に触れると、圧倒されるなあ。自分の小ささに改めて嘆息する。山崎にしても梅棹にしても、単純にメチャクチャに頭がいいというのはあるのだが、実際的な性格と、大勢の人々と仕事を進めていくスタイルが共通している。梅棹は、学術界の渋沢栄一と呼ぶべき、プロジェクトの立ち上げぶりである。

    そんなわけで遅くなってしまったのだが、少しだけでもやろうとリスニングの稽古。やり始めるとけっこう乗ってくる。Part1、2はそんなに間違うことはないのだが、3、4はやっぱり難しいなあ。聞き取りがちゃんとできてないのもあるし、ワーキングメモリに内容が全然乗らない。訓練して慣れていくしかない。こういうのは、時間とって集中して長時間やることで、開けてくるんじゃないかという気もする。

    最近、なんか文章を書こうとしていて、表現がすんなり出てこないという感じがする。日記を書いている時も、どう表現すればいいのかとか、言い回しが出てこなかったりとかする感じが少しある。睡眠不足で頭が回ってないだけかもだけど。

  • 2022年8月1日

    今日から8月。先月最終週あたりから日差しが厳しくなってきて、夏本番な感じ。ちょっといろいろと気合い入れて行かねばということで、日常的な動きから見直すことにしていく。また、気分良く過ごせるような態度を維持し続けるということも、意識的にやっていこうと思ったりしているところ(気分が悪くなったりはほとんどしないけど、かといってそれは「気分が良い」ということではないので、常にそういう状態でありたい)。

    通勤の行き帰りで、「イーサリアム・ファンデーションの宮口あやさんと語る「持続可能なweb3の育み方」 – Joi Ito’s Web – JP」、「76. モダンウェブフロントエンド(2022)に至る歴史 – React Server Component、SSR Streaming w/ morishin127 | fukabori.fm」、「Re10. DevOps指標について考えてみる 作成者:EM . FM #EMFM」を聴く。いつも行き帰りはPodcastを聴いているのだが、英語のリスニング用にしか聴いてなかったので、もうちょっと業界周りの情報収集的なものも聞いてみようと思う。

    TypeScriptとReact/Next.jsでつくる実践Webアプリケーション開発』という本が最近刊行されたのを知ったので、さっそく買って読み始めた。ReactやNext.js、TypeScriptについて基本的な内容はざっと見たのだけど、実際的なアプリケーションを作るレベルの設計やプラクティスがまだ全然ピンときてないので、こういう本はありがたい。しかし、この辺の開発手法は、おぼえることが多くて大変だなあ。

    梅棹忠夫本を読んでいて、もう一度Scrapboxを使うようにしようかなあと思って、今日気になった話についていくつかページを作ってみた。あんま深く考えずに話題を放り込んでいく感じで、またやってみようかなあ。でも、以前のものを見てももはや全然興味がなくて、知識の意外なつながりという感じがしない。しかし、それは使い方が偏っていたからであって、もっと全方位的に興味のあることをひたすら投げ込んでいけば、いい感じになるのかもしれない。

    積読本が多過ぎる(物理本でも数百冊、自炊したものやKindle入れるとその何倍か)ので、もっと効率的に読んでいけるようにしようと思って、目ぼしいところをさらうと決めた本を特定の場所に置いといて、ある時間内でザーッと見ていくということをしようと考えた。そうすると、手元で一番本をおきやすい場所が「日経サイエンス」、情報処理学会、人工知能学会、ACM、IEEEの各学会誌に占拠されていたので、まずはそれら20冊分ぐらいを片付けた。

    9月11日にTOEICを申し込んだので、今回はちゃんと修練を積んでからのぞもうと思い、リスニングをやることにした(リーディングはやらない)。家で夜中にやりはじめると集中するテンションじゃなくて、入り込むのが難しい。とりあえず1日分に少し足りないかなというぐらいまで進めてみて、感じをつかむ。また、TOEICとは関係なくスピーキングの稽古もしなければとずっと思っていたので、『英語のハノン』も再開。

    ちょっと感じをつかんできたので、仕事も勉強も明日からぐるぐる回していく。

  • 2022年7月31日

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    昨晩は、『花よりも花の如く』の続きを読んでいたのだが、もうちょっと能についての知識そのものを入れる方が楽しめそうだと思って、『マンガでわかる能・狂言』を読み始める。能については、舞台そのものを実際には観たことがなく、枠組みについてある程度知っているぐらい。あとは歴史に関しては、いくつか本を読んだことがある。基本的なことから学び直していたら、とりあえず舞台を観に行きたいという気持ちになってくる。

    昼食をとった後、Huluで配信している七月大歌舞伎『風の谷のナウシカ』「上の巻 ―白き魔女の戦記―」を観る。米吉さんの勤めるナウシカは、可愛さと勇ましさとが両立していて、ひたすら良い。菊之助さんのクシャナも、非常にクリアな口跡で朗々とした台詞回しがカッコよく、こういう役をやってもいい芝居をする方なんだなあと、あらためて感嘆を覚えた。やはりなんといっても素晴らしかったのは、多くの人がいう通り、王蟲の子とナウシカが心を通わせるシーン。歌舞伎らしく浄瑠璃での演出に切り替わっての情景描写からの、丑之助君による舞い。これぞ歌舞伎。

    近所に来ていたK君と、お茶しながら研究の話。道筋をつけていく。その後、恵比寿のクラフトビール屋さんで飲みつつ、後白河法皇と『梁塵秘抄』の話や、RIZINの話など。研究も仕事も、ただひたすらやりまくっていくことで、道が開けてくる。さらに書店で買い物。「ユリイカ 2022年8月号 特集=現代語の世界 ―若者言葉から語用論まで―」、水谷千秋『日本の古代豪族 100』、金田一京助・荒木田家寿『アイヌ童話集』を買う。

    帰宅して、「鎌倉殿の13人」。相変わらずの権力闘争。今日は阿野全成回だったが、来週に向けて不穏な兆し。

    DALL·Eに申し込んでいたのが通ったので、少し遊んでみる。適当に英文を入れてみるも、なかなかいい感じの絵にならなくて難しいものだ。それで、画家の名前を入れて新作を描いてもらったら、それっぽい感じのものができるにはできた。それだけだと面白くないので、コツを見つけたいものだなあ。

  • 2022年7月30日

    昨夜は、日記を書いた後、成田美名子『花よりも花の如く』(既刊20巻)をKindleで購入して読んでいた。気づいたら明け方。それから12時過ぎまで寝て、起きた後はさらに『花よりも〜』の続き。能楽師の成長話。能の演目に絡めながら人間ドラマを描く、少し長めのエピソードで構成されている。それ自体もいいのだが、単純にストーリーの出来が素晴らしくて、1話読むたびに感嘆を覚える。

    散歩に出る。お茶しながら、会田誠『性と芸術』の続きを読み、読了。「犬」の話は半分過ぎで終わり、後半は別の連載エッセイの収録。こちらも性的な事柄にまつわる話。前半の話と関連するところも多くあり、これらふたつで自作解説ということで併載しているのだろう。アーティストとしての批評性と、それだけではない割り切れなさを表現しようというアティテュードはよかった。後半の話では、生物学的な差にジェンダー問題を還元しかねない話も少しあり、そこだけ余計なんじゃないかと思ったが。

    ジムへ。AirPodsを忘れてしまったので、ジョギングはなし。肩周りを中心にやった後、レッグプレスもやる。すると、右膝がやや痛む。ジョギングでのダメージなのかなあ。負荷を70kg程度におさえて、回数を増やすようにした。その後はストレッチ。主に股関節まわり。かなり固くてほぐすのに苦労したが、あれこれやってるとだんだん動くようになっていく。今日は少しやり方を変えてみたら、可動域が少しだけ広がったように思えた。ちょっとずつでも進歩があるとうれしいものだ。

    帰宅して、さらに『花よりも〜』の続き。その後、夕食をとりつつ、「にっぽんの芸能」の「坂東彌十郎と見る「鎌倉殿」と歌舞伎」を観る。「鎌倉殿の13人」は歌舞伎役者がたくさん出ているが、その話だけでなく、北条時政や梶原景時など、演目によってキャラクタが違う登場人物についての話や、もちろん曽我兄弟の話など、歌舞伎とのつながりについての解説も多くあり、とてもいい。また、彌十郎さんが何かの演目の梶原景時をやる上で、他の演目のキャラ設定を気にするかと問われ、それぞれ別の話なので全く気にしないと答えていたのが印象的だった。

    小長谷有紀『ウメサオタダオが語る、梅棹忠夫:アーカイブズの山を登る』の続きを読み、読了。梅棹忠夫については継続的に興味を持ちつつ、たまに思い出して読んだりするぐらいなのだが、今回は、数ヶ月前に読んでいた山崎正和的な文脈(戦後の大物知識人的な意味で)で気にかかっているところ。現代ではもはやそういう関係はありそうもない。ともあれ、梅棹の巨大さにあらためて感嘆するばかりである。

    Kがずっとフジロックフェスティバルの中継を観ていたのだが、22時からコーネリアスの復活ライブということで、一緒にみる。Mic Checkから始まり、メドレーのようにして曲をつなげていくオープニングから、心奪われる。映像もとてもいいし、METAFIVEの「環境と心理」をやるという驚きもあったり、ひたすらカッコよくてとてもいいライブだったなあ。最後に、サングラスを外して挨拶していたのもグッときた。